大島 眞美
(経 歴)
現在の仕事内容は?
令和2年1月に裁判官になり、現在、岡山地方裁判所で民事事件を担当し、充実した日々を過ごしています。裁判官は、人と人との間の紛争(訴訟)について、良心と憲法・法律に従い、中立的な立場で、公正・公平に、審理、判断、紛争解決などを行う仕事です。
裁判官というとなんとなく無機質で堅苦しいイメージをお持ちかもしれませんが、実際はそんなことはありません。裁判官は、単に機械的に法律を事案に適用するような仕事では全くなく、とても人間らしく、一人一人の当事者と真摯に向き合う仕事だと思います。
裁判官として、直接、主体的に、一つ一つの事件・紛争にかかわり、日々悩み、考え、調べ、裁判官同士で相談・議論し合いながら、紛争の当事者にできる限り納得して前を向いて人生を歩んでいってもらえるような、より良い審理、紛争解決をすることを目指して、実際に紛争を解決に導いていけることに、日々、責任とやりがい、喜びを感じながら仕事をしています。
四天王寺高等学校・四天王寺中学校に入学した理由は?
中学受験をする以上は、中学でまた塾に行かなくても、熱心に学校で進学指導をしてくれる学校に入学したいという思いがあり、熱心に指導してくれると評判であった関西有数の女子進学校である四天王寺中学校を受験することにしました。
大学選びから就職までの経緯
理系科目も好きだったので進路は迷いましたが、人と接すること、人の話を聞くことが好きで、目の前の誰かに喜んでもらえる仕事がしたい、人と真剣に向き合って誰かの人生に良い影響を与えられるような仕事がしたいと思い、法曹(弁護士や裁判官などの法律実務家)を目指して、京都大学法学部に進学しました。
学部卒業後は、目の前で困っている人を助けられる弁護士になることをイメージして、法科大学院に進学しましたが、その後、法科大学院や司法修習などで、裁判官や弁護士をはじめとする様々な人とかかわる中で、紛争の一方当事者だけではなく、両方の当事者の言い分を聞き、日々ああでもないこうでもないと謙虚に悩みながら、何がこの紛争の本質なのかを考え、両方の当事者の将来や今後の社会にとって、何が一番良い紛争解決かを考えて、一つ一つの事件、一人一人の「人」に向き合える裁判官の仕事に魅力を感じ、裁判官の道を選びました。
四天王寺高等学校・中学校の一番の魅力は何だと思いますか?
四天王寺で過ごした6年間は、私の人生に数え切れない良い影響を与えてくれた大切な時間で、もしも人生のどこかの時間に戻ってリピートできるなら、迷わず中高時代を選ぶくらい、本当に充実した楽しい日々でした。四天王寺の魅力は沢山ありますが、一番の魅力を挙げるなら、やはり心から信頼できる気の置けない友人たちと、尊敬する先生方に恵まれたことです。
四天王寺生は、みんな、真面目で謙虚で心優しく、友達思いで、かつ明るくユーモアがあって面白くて、中高時代は、毎日、友人たちと心の底から笑い合っていたように思います。クラス・学年みんなで仲が良く、休み時間になるとどの教室からも聞こえてくる絶え間ない無数の談笑の声が懐かしく思い出されます。
四天王寺には、みんな裏表なく、ありのままの素の自分で接することができ、それぞれの個性・良さを尊重し、認め合うような風土があり、だからこそ、変に気を遣ったり取り繕ったりすることなく、信頼し合い、心から相手のことを思いやり合えるような、一生の友人関係を沢山築けたのだと思います。
四天王寺は、聡明で柔軟で、かつ芯を持った自立した女性に成長させてくれる環境であり、卒業後もみんなそれぞれの世界で活躍しています。中高時代に、共に笑い、共に喜び、共に悩み、共に成長した友人たちは、今でも心から信頼でき、喜びや悩みに共感し合えて、困ったときには本気で相談に乗ってくれるような、気の置けない大切な存在です。今日に至るまで沢山のコミュニティに属し、色々な素敵な方々にも恵まれてきましたが、やはり今でも、四天王寺が大好きで、卒業して改めて、四天王寺がどんなに温かく居心地の良い空間だったかと実感します。そんな風に思っているのがきっと私だけではないであろう四天王寺のコミュニティは、かけがえのない宝物です。
高校・中学生活で身に付いたことは?
学校生活を通じて、何事にも向上心を持って謙虚に努力することが、自然と身に付いたと思います。
四天王寺の先生方は、とても親身に熱心に指導してくださり、質問などにもいつでも快く、私たちの納得のいくまで丁寧に答えてくださいました。授業も、ただ淡々と進んでいくような記憶に残らない授業ではなく、各先生方が、思考のプロセスや出来事の背景等も含めて、なぜそうなるのかなどを理解できるように、大変分かりやすく、記憶にも残りやすい生き生きとした面白い授業をしてくださり、お蔭で、腑に落ちて理解する喜び、学ぶ面白さを知ることができました。
それだけでなく、生徒思いで、生徒の成長や活躍を自分のことのように喜んでくださるような、人柄も含めて尊敬できる先生方のお蔭で、とても恵まれた環境で勉学に励むことができたと思います。先生方が授業の合間や担任のクラスなどで話してくださった何気ない言葉や熱い思いが、今でも心に残っています。
私は中高6年間、塾に通いませんでしたが、きちんと授業の復習をして理解し、出される課題や試験の勉強をコツコツと行っていれば、それだけで自然と十分な力が身についており、後から振り返ると、私たちの6年先までを見据えてよく練られたカリキュラムと授業内容で、学校の勉強以外に何かに取り組まなくても、十分に必要な力を付けることができました。
そうやって、コツコツと目の前のことに一生懸命に取り組み、謙虚に日々の努力を積み重ねることの重要性を学ぶとともに、そのときそのときに自分ができるベストを尽くし、成長することの喜びや充実感を実感することができ、自然と、勉学だけでなく、何事にもそのような姿勢で取り組むことが身に付いたように思います。
文化祭や合唱コンクール、創作ダンスなどのクラス行事も大好きで、みんなで真剣にああしようこうしようと一生懸命考え、全力で取り組んだ日々も、とても楽しく充実した思い出です。
真面目で高い志を持った友人たちに囲まれて、勉強で分からないことは質問し合い、クラス行事ではより良いものを目指すために一緒に真剣に考え、みんなで共に成長できる環境だったからこそ、何事にも一生懸命取り組めたのだと思いますし、尊敬できる先生方と友人たちに恵まれたことにとても感謝しています。
受験生へのメッセージとアドバイス
受験勉強等、大変なときもあるかもしれません。勉強もそれ以外もそうですが、誰かと比べて不安になったり、隣の友達をライバルと思って比較したりするのではなく、自分の中で、そのときそのときに今自分ができるベストを尽くそうと努力すること、自分が納得できるものを目指して一生懸命取り組んで、足りなかった部分は謙虚に受け止め次に繋げることが大事だと思います。そして、自分が努力して取り組んできたことに自信を持って頑張ってください!
私は、中学生・高校生という大事な時期を四天王寺で過ごせたからこそ、人が好きで、目の前の誰かが喜んでくれることに喜びを感じ、明るく前向きに、日々努力、成長できる今があると思っています。四天王寺中学校・高校で過ごせたことをとても誇りに思っていますし、お世話になった先生方、大切な友人たち、四天王寺に入学させてくれた両親には感謝してもしきれません。
きっとみなさんにも、入学してよかったなぁと思えるような充実した日々と、尊敬する先生方、そして一生ものの友情を築ける友人たちが待っていると思います。
みなさんが将来、充実した楽しい学校生活を送られることを願って、心から応援しております!