田中由香
(経 歴)
現在の仕事内容は?
現在は、弁護士6名が在籍する名古屋市内の事務所に勤めており、個人のお客様・法人のお客様、民事事件・刑事事件を問わず様々なご相談や事件を担当しています。
弁護士としての日々の活動としては、依頼者の皆様との打合せ、電話対応、裁判所への出廷(訴訟・調停等)、現地調査、書面の起案、電話や面談による示談交渉、顧問先等におけるセミナーの実施、弁護士会における委員会活動等が挙げられ、時には日本全国に出張することもあります。
また、平成27年からは母校である京都大学大学院非常勤講師を務め、「民事法文書作成」及び「法律基礎科目演習」を担当しています。
弁護士の仕事はトラブルを抱えている依頼者の方々に寄り添いながら問題を解決する仕事であり、精神的に辛い思いをすることも多々ありますが、問題を解決して依頼者の皆様の笑顔を見ることができたとき、以前の依頼者の方々から「先生のおかげで幸せに暮らしています」とお手紙をいただいたときは、本当に弁護士になって良かったと思います。これまで私を支えてくれたすべての人に日々感謝しながら仕事をしています。
四天王寺高等学校・四天王寺中学校に入学した理由は?
私は、小学5年生の3学期、父の転勤により名古屋から大阪に転居することになり、転校先の小学校の担任の先生のアドバイスもあって私立中学を受験することに決めました。
志望校を決めるにあたっては、四天王寺高等学校・四天王寺中学校が中高一貫校で熱心に進学指導をしているということ、勉強だけでなくスポーツやクラブ活動にも力を入れ、高校ではカナダへの海外研修制度を設けるなど、生徒が幅広い視野を持つための取組みをしていることに大きな魅力を感じ、入学することに決めました。
大学選びから就職までの経緯は?
私は小学校6年生のとき、テレビのドキュメンタリー番組で女性弁護士が活躍する姿を見て、「あんな風にかっこいい女性になりたいな」と思い、卒業文集の将来の夢の欄に「弁護士」と書いていたのですが、長い間単なるあこがれに過ぎませんでした。
高校2年生になる前、文系理系の選択をしなければならないときに、将来のことを少しずつ考え始め、「人生は一度限り、社会の役に立つ仕事がしたい」と思い、幼い頃の憧れが少しずつ具体的な目標になり、法学部への進学を意識し始めました。
ただ、高校時代はまだ目の前の受験に向けて日々課題をこなすことに精一杯でした。大学に進学してゆっくりと自分の将来を考えるなかで、一人の女性として自立した生き方するために資格をとりたいと思い、司法試験を受験することに決めました。
大学選びについては、今でもよく思い切った選択をしたと思っています。私は暗記することが嫌いで文系科目が苦手、高校3年生になり、自由な校風に憧れ、京大を目指そうと意識はしていたものの、夏頃までは合格には程遠い状態・・・担任の先生をはじめ多くの先生方にご心配をおかけしていました。
そんな私が現役で合格できたのは、何と言っても先生方の熱心なご指導の賜物です。受験対策はもちろんのこと、なかなか成績が上がらず私が諦めそうになる度に「田中は京大に向いている」とおっしゃってくださるなど(理由はいまだに分かりませんが。笑)、大学受験の前日まで精神的なサポートをしてくださいました。今の私があるのは先生方のお陰です。心から感謝しております。
高校・中学での思い出は?
四天王寺で過ごした高校・中学時代は、私にとって宝物で、本当に充実した6年間でした。
私は「みんなと一緒に協力して何かを行う」ということが大好きでしたので、文化祭や創作ダンス、部活のイベント等、何か行事がある度全力投球し、燃え尽きてその後の定期試験の成績は振るわない、ということの繰り返しでした(笑)。特に文化祭の出店の企画をしたり、他校の生徒とESS部のEF(大阪府下の私立高校のESS部による英語のイベント)の準備を行ったり・・・学校の行事とは関係ありませんが高校生クイズに出場してみたり・・・楽しい思い出がいっぱいです。また、受験期は友人同士で毎日各々自分に合った課題を課し、翌日課題ができたかどうか確認し合うなど、一緒に辛い受験期を乗り越えようとしていたことも大切な思い出です。
平成30年は卒業後20周年を記念して英数Ⅱコースで同窓会を企画したのですが、久しぶりの同窓会にもかかわらず沢山の友人が集まってくれて、高校・中学時代の思い出を語り合うことができました。友人が皆様々な分野で活躍していることを知り、本当に四天王寺高等学校・四天王寺中学校に通って良かったなと改めて実感しました。
高校・中学生活で身に付いたことは?
私は、中学2年から高校3年生まで、学級代表を務めていました。5年間も務めていると慣れてそれが日常となるため、何も意識せずに日々を過ごしていましたが、思い返してみると、クラスの皆の前で話し、クラスで何かを決めるときに意見を聞いて集約する、何かクラスで問題が起きたときに解決するために調整する、クラスをまとめるために皆がどう思っているか考えるといったことは、自然と身に付いていったように思います。
このような学級代表としての仕事は、依頼者の方のお話を伺い、ご希望に添って問題を解決に導く、あるいは人前で講演をするという弁護士の仕事に活きているかもしれません。
また、在学中何度も唱和した学園訓である「和を以て貴しとなす」という聖徳太子の基本理念は、私の中に根付いていて、弁護士として争いごとを解決する時の根本精神となっています。
後輩(在校生・受験生)へのメッセージとアドバイスをお願いします。
今の私の充実した生活は、間違いなく四天王寺で過ごした6年間が大きな礎となっています。これから、皆さんがどのような分野に進まれるにしても、高校・中学時代は今後の人生にとって大変重要な時期で、この時期に経験したこと、中でも必死に取り組んだことは社会人になってから必ず活きます。
四天王寺高等学校・中学校は、熱心に指導してくださる先生と切磋琢磨する優秀な友人がいますので、皆さんも、是非この学校で何事にも全力投球してできる限り様々な経験をするとともに、先生方や友人から沢山のことを吸収してください。
現在、弁護士の世界はもちろんですが、一般社会におけるどのような分野においても、女性の活躍の場が急速に広がっていると実感しています。
皆さんもこれから一人の女性として自立するため、自分の可能性を信じてぜひ大きく羽ばたいてください。
Girls,be ambitious!